時代の趨勢 〜淘汰される診断名

今回の渡米で、また1つ確認できたこと。

診断名の変遷。


2002年に英国から帰国した後、日本国内では、自閉症の診断名を、広汎性発達障害という呼び名で診断が降りることが多いことに驚いていました。
当時から、英語圏では、PDDやPDDNOSという名称はいつかなくなるのでは、と言われていたからです。

また、広汎性発達障害という名称が、国内では、『自閉症』という日本語の漢字の字面のイメージへの苛立ちや、また、『アスペルガー症候群』についても少年犯罪との絡みで避ける傾向があった事実も否めませんでした。


しかし、それは国内事情であり、日本語漢字文化に依存する問題でありました。

そのうちDSMから非定型型広汎性発達障害(PDDNOS)が無くなったらどうするつもりなのかな〜と思っておりました。



今回の学会の最後に、カッティングエッジな研究者たち、カリフォルニア大学デービス校のサリー・オゾノフ、ジョンズ・ホプキンス大学(医学系では超一流大学)、フロリダ大学(自閉症領域では「サーツ」で有名ですね)、そして、ノースカロライナ大学医学部精神科の研究者たちが一同に揃って、質疑応答の時間帯がありました。


そこで、確認されたこと。


National Research Council on Autism や NIHは、以下の点を、強く勧め推進しているとのことでした。

「PDD」はカテゴリーであり、その障害群のカテゴリー名称である。
臨床現場での診断においては、PDDNOSよりは、ASDという診断名を用いることを強く勧める。以上。



自閉症
アスペルガー症候群(障害)

は、自閉症スペクトラム障害 として、今後さらに知られていくことでしょう。



自閉症の原因論に迫るパート2〜遺伝子研究

2001年を過ぎた頃から、ノースカロライナ大学医学部をはじめNIHなど、全米の有数の研究機関で、「自閉症の確定診断を持つ子どもの下に生まれるきょうだい児」を対象とした研究が、盛んに行われるようになりました。

遺伝子研究と脳の研究のためです。
自閉症になるかどうかはわからない新生児の時から、さまざまな部分で毎週追跡研究をするわけです。その成果として、まずは、のちに「自閉症確定診断」をもらった子達は、新生児から2歳児までの頭蓋周と脳の重量の発達が急激で、定型発達を示すグループとは著しく異なるということが判明。それも、自閉症マーカーの1つとなりえる事が判明したわけ。

それ以外にも、こういったやり方によって、自閉症の確定診断を持つ子どものきょうだいで協力してくれた子達からは、遺伝子や脳のさまざまな部位の成長発達を観察し続けることによって、のちに自閉症を発症する子としない子の、何が同じで何が違うかを、ずっと調べ続け、さまざまな角度から膨大なデータを統計処理することで、何が自閉症マーカーかも発見し、また、自閉症スペクトラムの超早期発見につなげる、ひいては、超早期療育で介入を開始し、それによって、自閉性症状の軽減を図る方法論の開発につなげるために行われています。サーツもRDIも、そのひとつの流れです。忘れてはいけないのは、「自閉症を治す」ことのできるものではありません。



そして、昨年辺りから、その結果の報告が始まっているのです。
特に、「自閉症のきょうだい」児の研究が、遺伝子研究や脳の研究に大きな転換を与えています。
今回のメイカンファレンスで聞いたことのほとんどが、その成果の一部でした。


こういった研究は、連邦政府他さまざまな機関からの助成金を得て、ノースカロライナ大学、ワシントン大学、ワシントン州立大学、ジョンズ・ポプキンス大学、カリフォルニア大学、イエール大学、フロリダ大学などで、独自に、あるいは、連携して行われており、ノースカロライナ大学医学部のピブン博士らが関係している大規模調査では、被験者数は多様な人種にわたって、ゆうに3000人以上の新生児を数年にわたって縦断研究しています。




のちに自閉症を発症する子どもたちの脳の重量急増加が12ヵ月未満に見られ始めるのですが、こういう研究の成果の一部として、


何が、生後1年未満の自閉症の脳を増加させるのか?


が、今、ホットな議論の的になっています。


それが、自閉症の発症の原因の解明につながる1つの道であろうというのが、大方の見方となってきております。





と、こういうことですから、3種混合とか三角頭がいとかって、ほとんど意味を成さない状況になってきていますね。

遺伝子研究の方々も、上記の研究発表した方々も、3種混合や食生活が発達障害を引き起こすといった論には、その関連を示すファクターは無いとおっしゃっていました。





自閉症の原因論に迫る!?

下の記事の続きです。

今回学んだこと、最新研究は、自閉症の原因論に迫るものということは明らかでした。

つまり、遺伝子研究の部分なのですが、それ自体が、コペルニクス的展開をしそうな雲行きだということが判明しつつあるのです。

自閉性障害にかかわる、DNAの1つ1つの染色体の部分部分、また、物質の移動、セロトニントランスポーターの役割などもかなり詳しく判明していますが、そういったことを発生させることになるgenes(遺伝子群)の役割などに迫ってきています。


なぜ、生後6ヶ月以降1歳未満に自閉症の子どもたちの脳の重量が急増するのか?
なぜ、スペクトラムとして発現するのか?
なぜ、行動観察でしか診断できないのか?


そして、超早期発見とそれにつづく超早期介入が果たすことのできる役割、などなどです。

超早期介入で、MRを併せ持つ自閉症児がIQ正常域の自閉症にまで変化したという実例を、長期フォローアップのビデオで見せてもらいました。自閉症は自閉症のままなのですが、社会性が圧倒的に伸びておりました。

超早期介入は、3歳未満で開始すること、というのは、アメリカ連邦政府の研究機関も強く勧めていることであります。

現時点での多くの研究が指し示していることは、早期に発見でき、適切な超早期介入をすれば、自閉症を無くすことは難しいけれど、症状は確かに軽減できるということです。

遺伝子研究や原因論などは、その実現のために行われています。

そして、こういった最先端の研究が指し示していることの一部では、一時的に社会現象のようになった三種混合ワクチン原因論や三角頭がい手術で自閉症を治すなどの考えは、当たっていなかったということも明らかに示しています。
特に三種混合ワクチン原因論については、イギリスで最初に主張を始めた小児科医が「あれは間違いだったかもしれない」ということを言い始めているとのことです。




おおおおおおぉぉぉぉ!!!!




本当にすごい時代になったものだ。




皆さん、もう少し確認したら、講演などできちんとお話できると思います。